第296号
ここ数年7月上旬の暑さが一番厳しいように思いますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。さて、先月再エネ海域利用法が改正され、洋上風力をEEZに設置することが可能になりました。海洋産業界としてはパイが拡大することに対する期待は大きいですが、一方で漁業団体(全漁連と大日本水産会)は、内閣府、経済産業省に漁業者が安心して操業できるための要望書を提出しています。漁業協調型の海洋開発を掲げる当協会としても、大きな課題としてとらえております。
======= 目 次 =======
《一般情報》
1.再エネ海域利用法の新たな準備区域の整理等(東京都伊豆諸島)
2.洋上風力環境影響のモニタリングガイドラインでパブコメ
3.エネ庁・国交省、洋上風力合同会議第33回を6月24日に開催
4.全漁連・大水、再エネ海域利用法改正で経産大臣・海洋担当大臣に要望書
5.経産省・シーメンスガメサ、洋上風力等で官民協力枠組みを立ち上げ等
6.九州電力、電気運搬船の開発・海上送電事業で海上パワーグリッド社へ出資
7.電源開発、スペインでの浮体式洋上風力実証試験プロジェクトに参画
8.ENEOS・奥尻町、ブルーカーボン活用脱炭素社会実現に向け連携協定を締結
9.MODEC、FPSOの原油貯蔵タンク検査でテラドローンとの共同研究開発契約更新
10.7/12-13、海洋都市横浜うみ博2025、大さん橋ホール等で開催
11.Ocean Infinity社製の新型USVが進水
12.台湾・海龍洋上風力発電プロジェクト、電力供給を開始
《海産研関係情報》
1.2025年度、会員向け出張情報サービスの実施について(再掲)
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《一般情報》
1.再エネ海域利用法の新たな準備区域の整理等(東京都伊豆諸島)
経済産業省及び国土交通省は、再エネ海域利用法に基づく促進区域の指定に向け、昨年11月~12月に都道府県から提出のあった情報提供書を基に、「東京都大島町沖」、「東京都新島村沖」、「東京都神津島村沖」、「東京都三宅村沖」及び「東京都八丈町沖」の5区域について、新たに「準備区域」として整理したことを発表した。また、セントラル方式の一環で、JOGMECがサイト調査を実施する地点として、新たに2区域(東京都新島村沖(浮体)、東京都神津島村沖(浮体))を選定した。
https://www.meti.go.jp/press/2025/06/20250626001/20250626001.html
https://www.metro.tokyo.lg.jp/information/press/2025/06/2025062622
2.洋上風力環境影響のモニタリングガイドラインでパブコメ
環境省は経済産業省とともに「洋上風力発電におけるモニタリング等に関する検討会」を2024年7月に設置し、国と事業者の役割分担を含めたモニタリングの内容、環境配慮の確保に向けたモニタリング結果の活用方法等について検討を進め、「洋上風力発電所の環境影響に係るモニタリングガイドライン(案)」を作成した。現在同案に関する意見の募集(パブリックコメント)が実施されている。意見募集期間は、6月17日から7月17日までとなっている。
https://www.env.go.jp/press/press_05052.html
3.エネ庁・国交省、洋上風力合同会議第33回を6月24日に開催
6月24日、経済産業省と国土交通省は、洋上風力に関する合同会議(「総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会/電力・ガス事業分科会再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会洋上風力促進ワーキンググループ」 「交通政策審議会港湾分科会環境部会洋上風力促進小委員会」 合同会議)(第33回)を開催した。議題は、公募占用指針改訂案、洋上風力発電に係る電源投資を確実に完遂させるための更なる事業環境整備についてとなっている。また、再エネ海域利用法改正法案と港湾法等改正法案の成立について、報告がなされた。
https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/saisei_kano/yojo_furyoku/033.html
4.全漁連・大水、再エネ海域利用法改正で経産大臣・海洋担当大臣に要望書
JF全漁連と大日本水産会は、6月3日に再エネ海域利用法の一部を改正する法律案が可決、成立したことを受けて、6月13日に武藤容治経済産業大臣と坂井学内閣府特命担当大臣(海洋政策)に対して要請活動を行い、要望書を手渡した。両団体は、今後我が国EEZにおける洋上風力発電の展開についての漁業者の不安を払拭するために、1.風力発電施設設置の全体像の提示と漁業との棲み分け、2.事前調査及びモニタリング、3.不測事態への対応、の3点を要望した。
https://www.zengyoren.or.jp/news/press_20250617/
5.経産省・シーメンスガメサ、洋上風力等で官民協力枠組みを立ち上げ等
2025年6月24日、経済産業省は、洋上風力発電分野における企業間連携を促進するとともに、サプライチェーン構築の課題について議論等するため、経済産業省とシーメンスガメサリニューアブル社が官民協力枠組みを立ち上げたことを発表した。両者は、海外市場も視野に入れた、風車サプライチェーン構築について継続的に議論・協働するとしている。また、松尾経済産業審議官がシーメンスガメサ社とTDK(株)との風車用磁石供給における協力覚書の署名式に立ち会ったことも併せて発表した。
https://www.meti.go.jp/press/2025/06/20250624004/20250624004.html
6.九州電力、電気運搬船の開発・海上送電事業で海上パワーグリッド社へ出資
九州電力(株)は、パワーエックス社の子会社であり電気運搬船の開発・海上送電事業を行う(株)海上パワーグリッドと出資契約を締結したことを6月13日に発表した。海上パワーグリッド社が手掛ける電気運搬船は、船に搭載した蓄電池で、電気を海上輸送することができる世界初の送電手段であり、この技術と、九州電力の蓄電池の運用技術を組み合わせることで、離島への送電による太陽光発電の余剰電力の有効活用や洋上風力発電の導入推進等、地域社会の脱炭素化を目指すとしている。
https://www.kyuden.co.jp/press/2025/h250613-1.html
7.電源開発、スペインでの浮体式洋上風力実証試験プロジェクトに参画
電源開発(株)は、スペイン企業のESTEYCO SA社が中心となっているグラン・カナリア島(スペイン)で進める浮体式洋上風力発電の実証試験プロジェクトWHEELへ参画したことを6月25日に発表した。同実証試験プロジェクトでは、ESTEYCO SA社が保有する、バージ型とスパー型の利点を兼ね備えたWHEELという浮体式基礎技術を用いた浮体式洋上風力発電の実証機(6,170kW×1基)を建造し、実証試験を行う予定である。
https://www.jpower.co.jp/news_release/2025/06/news250625_2.html
8.ENEOS・奥尻町、ブルーカーボン活用脱炭素社会実現に向け連携協定を締結
北海道奥尻町とENEOS(株) は、「ブルーカーボンを活用した脱炭素社会の実現」に向けた連携協定を6月16日に締結したことを発表した。同協定において、ENEOSはブルーカーボンに関する検討と実証試験を行い、奥尻町は、漁業者をはじめとした関係者と連携し、この検討と実証試験に協力するとしている。奥尻町は、ウニやナマコの養殖等が盛んであり、オーガニック水産品やブルーカーボンの創出源として注目されている海藻類の生産拡大も目指している。
https://www.eneos.co.jp/newsrelease/20250616_01_01_1040009.pdf
9.MODEC、FPSOの原油貯蔵タンク検査でテラドローンとの共同研究開発契約更新
三井海洋開発(株)と、Terra Drone(株)は、FPSO(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)における原油貯蔵タンク内部の非破壊検査を目的としたTerra UTドローンに関する共同研究開発契約の更新に合意したことを6月17日に発表した。同契約は、2024年に両社が締結した共同研究開発契約に基づき、測定精度向上・安全性強化・作業時間短縮等で成果が上がったことを受け、さらなる技術の実用化及び運用拡大を目指すものとしている。
https://www.modec.com/jp/news/2025/20250617_pr_TerraDrone.html
10.7/12-13、海洋都市横浜うみ博2025、大さん橋ホール等で開催
7月12日、13日に横浜市の大さん橋ホール、象の鼻パーク、大さん橋ふ頭周辺を会場として、「海洋都市横浜うみ博2025」(主催:海洋都市横浜うみ協議会、共催:横浜市)が開催される。将来を担う子どもたちに向けて、うみの多様な魅力を発信するもので、今年で10回目の開催となる。展示ブース、ステージでのイベント、ワークショップ、船の見学・展示等が予定されている。参加費は無料(一部有料のコンテンツあり)。
https://umihaku.jp
11.Ocean Infinity社製の新型USVが進水
Ocean Infinity社は、7月2日付のニュースリリースで、クウェート沿岸警備隊(KCG)の式典において、同社が開発した革新的な無人水上艦(USV)「ニードルフィッシュ」の進水式が行われたことを発表した。この新型USVは、KCGが新たに整備した陸上指令センターから制御され、クウェートの領海11,000km2における新たな無人哨戒、監視、地図作成、測量等に貢献するとのこと。
https://oceaninfinity.com/ocean-infinity-launches-needlefish-usv-in-kuwait/
12.台湾・海龍洋上風力発電プロジェクト、電力供給を開始
海龍洋上風力発電プロジェクト(以下、海龍プロジェクト)は、6月12日付のニュースリリースで、発電開始を祝う式典を開催し、5月に実施された通電試験の成功と、台湾電力の電力系統への初の電力供給を正式に発表した。台湾で初めて総設備容量1GWを超える洋上風力発電所となる同プロジェクトでは、既に14基の風力タービンの設置が完了している。海底ケーブルを通じて洋上変電所に送電されて220kVに昇圧、その後、陸上変電所に送電されて161kVに降圧し、最終的に台湾電力の電力系統に接続されるとのこと。
https://hailongoffshorewind.com/en/FirstPowerCeremony?utm_source=chatgpt.com#!
《海産研関係情報》
1.2025年度、会員向け出張情報サービスの実施について(再掲)
当協会では、会員企業等を対象に事務局スタッフがお伺いし、これまで当協会が蓄積してきた情報をもとに特定のテーマに関する情報提供を行う「出張情報サービス」を実施しています。社内研修の一環等にご利用いただければと思います。今年度は、9月末迄の期間で、随時、申し込みを受け付けます。詳細につきましては、お気軽に事務局までお問い合わせください。