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2025年10月10日

第299号

洋上風力に関連する施策として、再エネ海域利用法の新たな有望区域・準備区域、JOGMECのセントラル方式調査区域や、北海道電力と東北電力の石狩湾新港への洋上風力事業への参画等の前向きな発表がありました。当協会としても、海洋産業全体の市場拡大を見据え、洋上風力の推進に引き続き積極的に協力してまいります。


=======  目  次  =======  

《一般情報》

1.再エネ海域利用法の新たな有望区域、準備区域の整理等
2.北電・東北電、石狩湾新港洋上風力発電事業へ参画
3.浮体式洋上風力技術研究組合(FLOWRA)とEMECが協力覚書を締結
4.東洋建設、海底ケーブル埋設機施工技術の実海域で実証実験
5.JWFC、函館港をSEP船の母港とすることに向けた協定を締結
6.商船三井、OTEC冷排水に関する環境アセスで海底観測の効率化等を実現
7.武田薬品とVELA社、世界初の貨物三胴帆船による大西洋横断の医薬品輸送
8.11/14、日本科学協会が研究発表会-電力に代わり天然冷熱を利用する-
9.10/29、海洋産業プラットフォーム会合(第10回)開催
10.仏・ノルマンディー沖の1.5GW洋上風力発電事業者が決定
11.国連公海等生物多様性協定(BBNJ協定)が2026年1月に発効


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《一般情報》


1.再エネ海域利用法の新たな有望区域、準備区域の整理等

 経済産業省及び国土交通省は、10月3日、再エネ海域利用法に基づく促進区域の指定に向け、有望区域として「秋田県秋田市沖」「福岡県響灘沖」を、準備区域として、「千葉県旭市沖」「長崎県五島市南沖(浮体)」「鹿児島県いちき串木野市沖」を、新たに整理したことを発表した。また、同日、経済産業省は、セントラル方式のサイト調査対象として「秋田県秋田市沖」「千葉県旭市沖」「福岡県響灘沖」の3区域を新たに選定したことを発表した。
https://www.meti.go.jp/press/2025/10/20251003001/20251003001.html


2.北電・東北電、石狩湾新港洋上風力発電事業へ参画

 (株)JERAは、9月30日に、再生可能エネルギー事業子会社JERA Nex Limitedが保有する「石狩湾新港洋上風力発電事業」の事業権益の一部を、北海道電力(株)及び東北電力(株)が共同で設立した会社に譲渡した。これにより、同事業は、(株)JERA、(株)グリーンパワーインベストメント、北海道電力(株)、東北電力(株)の4社体制で運営される。同事業は、北海道石狩湾新港において、Siemens Gamesa製8,000kW風車14基(総出力112,000kW)を設置し、2024年1月より商業運転を開始している。
https://www.tohoku-epco.co.jp/news/normal/__icsFiles/afieldfile/2025/09/30/1247609.pdf


3.浮体式洋上風力技術研究組合(FLOWRA)とEMECが協力覚書を締結

 9月16日、浮体式洋上風力技術研究組合(FLOWRA)は、英国スコットランド・オークニーに拠点を置く欧州海洋エネルギーセンター(EMEC)と、浮体式洋上風力発電分野の技術開発協力に関する覚書を締結したことを発表した。両者は、浮体式洋上風力技術の実証試験サイトの構築及び運営における連携の可能性を検討する。FLOWRAは海外機関との協力を通じて、浮体式洋上風力発電の共通基盤技術の研究開発を進め、コストとリスクの低減を図るとしている。
https://flowra.or.jp/wp-content/uploads/2025/09/EMEC-FLOWRA-Press-release-in-Japanese-Joint-Version-v.R2.3_EMEC.pdf


4.東洋建設、海底ケーブル埋設機施工技術の実海域で実証実験

 東洋建設(株)は、9月29日、同社が開発中の海底ケーブル埋設機の施工技術について、実海域での実証実験を行ったと発表した。同実証実験では、国内既存のケーブル埋設機を用い、海底地盤にケーブルを埋設して施工データを取得し、2023年から進めている室内実験での評価手法の妥当性を、実海域条件下で検証した。同件は、NEDO事業「風力発電等技術研究開発/洋上風力発電低コスト施工技術開発(ウォータージェット式海底ケーブル埋設機施工技術実証)」の助成を受けて行われた。
https://www.toyo-const.co.jp/topics/technicalnews-24838


5.JWFC、函館港をSEP船の母港とすることに向けた協定を締結

 函館市とJapan Wind Farm Construction(株)(以下、JWFC)は、洋上風力発電施設の建設に使用するSEP船の母港を函館港とすることを目指し、協定を締結した。JWFCは、戸田建設(株)、熊谷組(株)、西松建設(株)、若築建設(株)、岩田地崎建設(株)、吉田組(株)の6社で構成されている。協定書では、2026年5月15日からJWFC所有のSEP船母港を函館港とすること、函館市は同SEP船の岸壁利用について調整に努めること等が示された。
https://www.toda.co.jp/news/2025/20250925_006124.html


6.商船三井、OTEC冷排水に関する環境アセスで海底観測の効率化等を実現

 (株)商船三井は、東京大学・琉球大学・科学技術振興機構(JST)との共同研究で、海洋温度差発電(OTEC)の冷排水に関する環境アセスメントを実施したことを9月24日に発表した。同共同研究では、東京大学と(株)ウインディネットワークが共同開発した曳航式海底調査ツール「Speedy Sea Scanner」と、新開発のAIモデル「Coral-Lab」を活用した。サンゴ礁の自動識別と被度推定を可能とし、従来のダイバーによる目視調査に比べて、広範囲・短時間・高効率な海底環境モニタリングの実施が可能となるとした。
https://www.mol.co.jp/info/article/2025/0924b.html


7.武田薬品とVELA社、世界初の貨物三胴帆船による大西洋横断の医薬品輸送

 武田薬品工業(株)は、9月19日に、フランスのVELA Transport社(以下、VELA社)と提携し、世界初の貨物三胴帆船による医薬品の大西洋横断輸送を行うことを発表した。VELA社が設計した三胴帆船は、海上では100%風力で航行し、温室効果ガス排出量を航空輸送比で最大99%、コンテナ船比で最大90%削減できる見込みとしている。船内には再生可能エネルギーで稼働する温度管理システム「CoolSafe」を搭載し、温度管理基準に基づく医薬品輸送を実現する。初航海は2026年後半を予定している。
https://www.takeda.com/jp/newsroom/newsreleases/2025/vela-partnership/


8.11/14、日本科学協会が研究発表会-電力に代わり天然冷熱を利用する-

 (公財)日本科学協会は、11月14日に、都内で「第4回 助成研究者研究成果発表会」を開催する。同発表会は、笹川科学研究助成事業と産業界との連携促進を目的としており、第4回となる今回のテーマは「電力に代わり天然冷熱を利用する」となっている。当日は、大阪電気通信大学安永健准教授による基調講演「自然の冷熱資源を活かす:湖水・海洋深層水の空調等への適用事例と将来展望」、NTT宇宙環境エネルギー研究所前田裕二所長による特別講演「データセンタ冷却における海水・湖水利用について」が行われる。また、笹川科学研究助成のOB・OGによる研究発表も3件予定されている。発表会終了後には、研究者紹介を兼ねた懇親会も予定されており、発表会・懇親会とも参加費は無料となっている(定員になり次第締切)。
https://www.jss.or.jp/ikusei/sasakawa/seika_event.html
申込フォーム:https://forms.gle/BXYFU5iMDuKtaR4N6


9.10/29、海洋産業プラットフォーム会合(第10回)開催

 来る10月29日、内閣府総合海洋政策本部参与会議内藤忠顕座長代理・参与の主宰のもと、10回目となる海洋産業プラットフォームが鉄鋼会館にて開催される。第1部では内閣府総合海洋政策推進事務局より「海洋に関する政府の取組」に関する説明、第2部では各企業・団体より「海洋産業を取り巻く最近の動向」の紹介、第3部では海洋産業タスクフォースより活動報告が予定されている。詳細及び参加方法については、下記リンク先の案内状を参照のこと。
https://hmbx.canon.jp/homebox/document/folder/share/download?shareId=21d5915a62f847f5b130c6f2f66b6f8c


10.仏・ノルマンディー沖の1.5GW洋上風力発電事業者が決定

 仏・TotalEnergies社は、9月24日付のプレスリリースで、フランス政府よりCentre Manche 2洋上風力発電事業の入札において、RWE社とコンソーシアムを組み、受注者として選定されたことを公表した。同事業海域はフランス北西部のノルマンディー沖合40km以上に位置し、同国内で最大規模の再エネプロジェクトとなる1.5GWの洋上風力発電施設の設計、開発、建設、そして運営を担う。今後は、2029年初頭までに最終投資決定(FID)を下すために必要な調査を実施し、2033年の稼働を目指すとしている。
https://totalenergies.com/news/press-releases/france-totalenergies-selected-state-operator-countrys-largest-renewable-energy


11.国連公海等生物多様性協定(BBNJ協定)が2026年1月に発効

 国際連合は、9月19日に国連公海等生物多様性協定(BBNJ協定)の国連加盟国の批准国数が60か国に達し、これにより120日後の2026年1月17日に発効する見込みであることを発表した。BBNJ協定は、海洋法に関する国際連合条約(UNCLOS)に基づく国家管轄権外区域における海洋の生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関する協定で、海洋遺伝資源の利益配分、海洋保護区等の設定、公海・深海底での環境影響評価、能力開発・技術移転が主な内容となっており、2023年6月に国連で採択され、批准国数が60となり次第、120日後に発効することとなっていた。日本は国会承認を得ているものの現時点では未批准。
https://news.un.org/en/story/2025/09/1165901

https://www.unep.org/unep-and-bbnj

参考:https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/ocean_policy/sosei_ocean_tk_000046.html

 




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