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2025年11月10日

第300号

先週末、沖縄県久米島にて「海洋深層水利用学会」全国大会が開催されました。能登地震による取水施設への影響や、大容量取水技術の検討、JICAによる国際展開の紹介に加え、「久米島サミット」として地域に根ざした海洋深層水活用の取り組みも共有されました。研究から地域振興、国際協力に至るまで、多岐にわたる分野での発表が続き、海洋深層水の可能性の広がりを感じました。今後の更なる活用と連携の深化が期待されます。


=======  目  次  =======  

《一般情報》

1.11/4、第1回日本成長戦略本部開催
2.NEDO、懸賞金活用型プログラム「Challenge for BLUE ECONOMY」公募開始
3.浮体式洋上風力技術研究組合と日本海事協会が連携協定を締結
4.五洋建設、洋上風力大型基礎施工船及びケーブル敷設船の加工開始
5.日本郵船、養殖藻場造成による海洋環境再生事業を支援
6.日鉄エンジ、洋上風力発電施設向けO&Mでアチハと協業を開始
7.商船三井、久米島町とOTEC等で包括連携協定
8.常石造船、国内初となる水素燃料タグボートを引渡し
9.11/26、かながわ海業シンポジウム
10.11/14、日本科学協会研究発表会-電力に代わり天然冷熱を利用する-(再掲)
11.インド政府、海洋開発支援に向けて海洋情報プラットフォームを整備
12.IMO、船舶排出規制に係る改正案の採択見送り



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《一般情報》


1.11/4、第1回日本成長戦略本部開催

 11月4日、日本成長戦略本部(第1回)(本部長:高市早苗内閣総理大臣)が開催された。成長戦略の検討課題(案)として、「危機管理投資」、「成長投資」の戦略分野として、17分野が示された。「造船」、「港湾ロジスティクス」、「海洋」等の海洋関連分野も含まれている。2026年夏に、成長戦略を策定するとしている。
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/nipponseichosenryaku/honbu/dai1/gijisidai.html

https://www.kantei.go.jp/jp/104/actions/202511/04seichyou.html


2.NEDO、懸賞金活用型プログラム「Challenge for BLUE ECONOMY」公募開始

 NEDOは、10月29日、「懸賞金活用型プログラム」の新たなテーマとして、「NEDO Challenge for BLUE ECONOMY/広範囲な浅海における短時間計測・観測システムの開発」の公募を開始した。今回の募集開始は1次コンペティションで、募集テーマは、大型藻類の生育状況把握・計測や船底付着生物の非破壊計測等、ブルーカーボン創出及び海洋産業振興に資する技術である。11月11日には静岡市で1次コンペティションへの提案促進等を目的としたプレイベント「Ocean Innovation Day 2025」が開催予定となっている。
https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101900.html?utm_source=chatgpt.com


3.浮体式洋上風力技術研究組合と日本海事協会が連携協定を締結

 浮体式洋上風力技術研究組合(FLOWRA)と一般財団法人日本海事協会(ClassNK)は、10月28日、浮体式洋上風力発電分野の技術開発協力に関する連携協定を締結した。両者は、浮体式洋上風力開発分野における協力の可能性を探るとしている。
https://www.classnk.or.jp/hp/ja/news.aspx?id=14262&layout=1&type=p


4.五洋建設、洋上風力大型基礎施工船及びケーブル敷設船の加工開始

 五洋建設(株)は、洋上風力建設に用いる5,000t吊クレーンを搭載する大型基礎施工船(HLV)及び10,000tのケーブルタンクを搭載するケーブル敷設船(CLV)の加工開始式典を行ったことを11月6日に発表した。完成・引き渡しについては、HLVは2028年5月に、CLVは2028年2月に、それぞれ予定されている。
https://www.penta-ocean.co.jp/news/2025/251106.html?utm_source=chatgpt.com


5.日本郵船、養殖藻場造成による海洋環境再生事業を支援

 日本郵船(株)は、11月5日、海藻を活用した「養殖藻場」の造成による生物多様性向上の支援を目的として、合同会社シーベジタブル(本社:高知県安芸市)に寄付を行ったことを発表した。シーベジタブル社は、秋田県男鹿市の沿岸に人工的な藻場をつくり海の生態系の回復と水産資源の再生を目指すとしている。今回支援する「養殖藻場」は、海藻を人工的に育てて藻場を再生・創出する、循環型の新しい取り組みで、最終的には海藻を収穫して製品として出荷することで、海の環境再生と地域の活性化の両立を目指すとしている。
https://www.nyk.com/news/2025/20251105_02.html


6.日鉄エンジ、洋上風力発電施設向けO&Mでアチハと協業を開始

 日鉄エンジニアリング(株)は、アチハ(株)と、日本国内の洋上風力発電施設向けのO&Mサービスにおける協業を開始したことを10月30日に発表した。日鉄エンジニアリングは、洋上風力発電施設向けO&Mサービスの推進に向けて、世界有数のサービスプロバイダーであるDeutsche Windtechnik Offshore und Consulting GmbH、及び各種の作業用船舶を保有・運航する深田サルベージ建設(株)との協業体制も構築している。
https://www.eng.nipponsteel.com/news/detail/20251030/


7.商船三井、久米島町とOTEC等で包括連携協定

 10月28日、(株)商船三井と沖縄県久米島町は、久米島町における再生可能エネルギー事業や脱炭素事業、産業ツーリズム事業に関する包括連携協定を締結した。海洋温度差発電をはじめとする同社事業の推進を目的に、両者の技術や知見と久米島町の豊富な資源を活かすことで、地域の課題解決と産業振興に向けた取り組みを進めるとしている。
https://www.mol.co.jp/pr/2025/25083.html


8.常石造船、国内初となる水素燃料タグボートを引渡し

 常石造船(株)は、10月15日に常石工場にて国内初となる水素燃料タグボート「天歐」を引渡した。同船は、常石グループとCMB.TECHグループの合弁会社であるジャパンハイドロ(株)が供給する高出力の水素混焼エンジン、大容量の高圧水素ガス貯蔵及び供給システムを搭載している。12気筒の水素混焼エンジンを2基(4,400馬力級)搭載しており、水素とA重油を混焼することで、従来の化石燃料のみを使用するタグボートと比べて、推進機関において約60%のCO2排出削減を実現している。
https://www.tsuneishi.co.jp/news/p1092/


9.11/26、かながわ海業シンポジウム

 11月26日午後、神奈川県主催で横浜情報文化センターにて「かながわ海業シンポジウム」が開催される。同県では漁業関係者と民間事業者とのマッチング等を実施しながら「海業」の推進に取り組んでいる。「海業」は、漁港を活用した官民連携推進事業や藻場再生活動によるブルーカーボンクレジット事業にも親和性が高い分野とされている。
同シンポジウムでは、海業への認知度・理解度を高め、身近なものとして捉えてもらうことを目指し、同県における海業の取組状況の事例紹介やパネルディスカッション等が行われる。オンライン併用での開催で、参加費は無料、参加申し込みは11月21日となっている。なお、当日事例紹介やパネルディスカッションに対する質疑応答は会場での参加者が優先となる。
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/kb2/umigyou/main.html


https://www.pref.kanagawa.jp/documents/122317/umigyosymposium.pdf


10.11/14、日本科学協会研究発表会-電力に代わり天然冷熱を利用する-(再掲)

 (公財)日本科学協会は、11月14日に、都内で「第4回 助成研究者研究成果発表会」を開催する。同発表会は、笹川科学研究助成事業と産業界との連携促進を目的としており、第4回となる今回のテーマは「電力に代わり天然冷熱を利用する」となっている。
当日は、大阪電気通信大学安永健准教授による基調講演「自然の冷熱資源を活かす:湖水・海洋深層水の空調等への適用事例と将来展望」、NTT宇宙環境エネルギー研究所前田裕二所長による特別講演「データセンタ冷却における海水・湖水利用について」が行われる。また、笹川科学研究助成のOB・OGによる研究発表も3件予定されている。発表会終了後には、研究者紹介を兼ねた懇親会も予定されており、発表会・懇親会とも参加費は無料となっている(定員になり次第締切)。
https://www.jss.or.jp/ikusei/sasakawa/seika_event.html

申込フォーム:
https://forms.gle/BXYFU5iMDuKtaR4N6


11.インド政府、海洋開発支援に向けて海洋情報プラットフォームを整備

 インド政府の商工省国内貿易促進局(DPIIT: Department for Promotion of Industry and Internal Trade, Ministry of Commerce and Industry)は、10月13日付のプレスリリースで、海洋開発の統合的な計画・管理を行うためのデジタルプラットフォームを整備することを公表した。このプラットフォームは各省庁(再生可能エネルギー省、環境森林気候変動省、石油天然ガス省、港湾・海運・水路省、水産局、鉱山省等)が所有するデータセットを統合した地理空間インターフェースを提供し、洋上風力発電、海洋資源探査、沿岸インフラ開発といったプロジェクトの意思決定を支援し、同国のブルーエコノミー強化やグリーンエネルギー転換及び持続可能な沿岸成長を支えることを目的としている。
その一例として、インド本土とアンダマン・ニコバル諸島を結ぶ海底直流送電線(HVDC)の最適な敷設ルートを計画する際、海底地形データから最適な水深を把握して敷設コストを抑えつつ、サンゴ礁・マングローブ・ウミガメ産卵地などの生態系データを考慮して環境負荷を回避できることを挙げている。
https://www.pib.gov.in/PressReleasePage.aspx?PRID=2178543


12.IMO、船舶排出規制に係る改正案の採択見送り

 国際海事機関(IMO)は、10月14日~17日に開催された海洋環境保護委員会(MEPC)の第2回臨時会合(MEPC/ES.2)において、船舶からの温室効果ガス(GHG)排出削減を目的としたMARPOL附属書VIに対する改正案の採択延期を決定した。
今回の改正案では、主として(1)温室効果ガス(GHG)燃料強度に関する新要件と、それに連動する価格付け及び報酬メカニズム、(2)北東大西洋をSOx、PM、NOxの排出規制海域として指定が論点となったが、加盟国の意見は一致せず、最終日には 57か国が「1年間の会合延期」に賛成し、49か国が「継続審議」に賛成した。これにより、審議は2026年10月に再開される予定で、改正案の発効は最も早くて2028年3月となる。
https://www.dnv.com/news/2025/decision-on-the-imo-net-zero-framework-delayed-for-one-year/


 




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