第309号〔特別号〕
7月21日、政府は持ち回り閣議において、「日本成長戦略」、「経済財政運営と改革の基本方針2026(骨太の方針)」、「地域未来戦略」、「規制改革実施計画」の4文書を決定しました。今回のメルマガでは、これらの文書に盛り込まれた海洋関連の主な施策や取組を中心に、最近の海洋政策の動向についてお伝えします。
======= 目 次 =======
《特集 政府4文書を中心とした海洋政策の動向》
1.政府、持ち回り閣議で「日本成長戦略」など4文書を決定
2.「日本成長戦略」、海洋・造船・エネルギー等官民投資ロードマップを策定
3.「骨太の方針2026」、海洋分野の取組・地域振興・人材育成を推進
4.「地域未来戦略」、港湾や造船ドックを核とした産業クラスター形成
5.「規制改革実施計画」、未利用漁場の活用促進と漁業調整の透明化
6.自民党海洋開発特別委員会、海洋政策に関する提言を取りまとめ
《海産研関係情報》
1.当協会事務局、8月10日(月)~14日(金)夏季休業
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《特集 政府4文書を中心とした海洋政策の動向》
1.政府、持ち回り閣議で「日本成長戦略」など4文書を決定
7月21日、政府は持ち回り閣議において、「日本成長戦略」、「経済財政運営と改革の基本方針2026(骨太の方針)」、「地域未来戦略」及び「規制改革実施計画」の4文書を決定した。各文書の概要は以下のとおりである。
日本成長戦略:日本成長戦略会議での議論を踏まえて策定された政府の成長戦略であり、戦略17分野について主要な製品・技術等の官民投資ロードマップを示している。
経済財政運営と改革の基本方針2026(骨太の方針2026):経済財政諮問会議での審議を経て閣議決定された政府の基本方針であり、経済財政運営や予算編成、各分野の改革の方向性を示している。
地域未来戦略:地域未来戦略本部での検討を踏まえて策定された政府戦略であり、地域の特性を生かした産業振興、投資促進、人材育成等の施策を取りまとめている。
規制改革実施計画:規制改革推進会議の答申等を踏まえて閣議決定された実施計画であり、各改革事項の内容、担当府省及び実施時期を示している。
https://www.kantei.go.jp/jp/kakugi/2026/kakugi-2026072102.html
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/nipponseichosenryaku/index.html
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/index.html
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/chiikimirai/index.html
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/meeting.html
2.「日本成長戦略」、海洋・造船・エネルギー等官民投資ロードマップを策定
政府は、「日本成長戦略」において17の戦略分野を定めるとともに、「戦略17分野における『主要な製品・技術等』の官民投資ロードマップ」を策定した。海洋分野では、2040年度までに、「海洋無人機」(1.2兆円)、「MDA」(1.2兆円)、「海底開発」(0.9兆円)の3つの主要項目で、合計約3.3兆円の官民投資を見込んでいる。また、海洋に関連する分野では、例えば、「造船分野」(次世代船舶、船舶修繕、LNG運搬船)で計1.1兆円超(※LNG運搬船は今後精査)、「港湾ロジスティクス分野」(港湾荷役機械、サイバーポート、次世代型倉庫)で計1.2兆円、「情報通信分野」の海底ケーブルで2.4兆円、「資源・エネルギー安全保障・GX分野」の洋上風力で5.1兆円など、幅広い海洋関連分野で官民投資の目標が示されている。
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/nipponseichosenryaku/index.html
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/nipponseichosenryaku/pdf/rm2026.pdf
3.「骨太の方針2026」、海洋分野の取組・地域振興・人材育成を推進
「経済財政運営と改革の基本方針2026『責任ある積極財政』元年 ~日本の挑戦を起動する!~」(骨太の方針2026)では、2040年度に名目GDPが1,100兆円に迫る「強い経済」の実現に向け、海洋を経済安全保障や成長フロンティアの重要分野の一つとして位置づけている。また、日本成長戦略等と連携し、海洋・造船分野の取組を推進するとともに、経済安全保障の観点から海上輸送の強靱化を図る方針が示された。さらに、人材育成では、関連資料である「政策ファイル」において、専門高校等の魅力向上に向けた具体例として、水産高校におけるAIを活用したデータに基づく養殖の実践が紹介されている。
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/honebuto/2026/decision0721.html
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/honebuto/2026/seisakufile_ja.pdf
4.「地域未来戦略」、港湾や造船ドックを核とした産業クラスター形成
「地域未来戦略」では、「戦略産業クラスター計画」、「地域産業クラスター計画」及び「地場産業成長プラン」の3つの枠組みにより、地域の特性を生かした産業振興や投資促進、人材育成等を進め、強い地域経済の構築を目指している。このうち、戦略産業クラスター計画では、計画に位置付けられた港湾等の公共インフラの整備を重点的に推進する方針が示されている。また、企業等が所有する拠点の整備例として、半導体拠点と空港を結ぶアクセス鉄道等と並び、「共用造船ドック」が挙げられている。さらに、造船クレーン製造企業等、サプライチェーンを構成する企業への投資も支援することとしている。
このほか、港湾分野では、カーボンニュートラルポート(CNP)の形成を推進する方針が示されている。なお、CNPについては、本文の注釈において、「脱炭素化に配慮した港湾機能の高度化や水素等の受入環境の整備等を図る港湾」と説明されている。
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/chiikimirai/pdf/20260721_honbun.pdf
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/chiikimirai/pdf/20260721_gaiyo.pdf
5.「規制改革実施計画」、未利用漁場の活用促進と漁業調整の透明化
「規制改革実施計画」では、漁業の成長産業化に向け、未利用漁場の有効活用や漁業権制度の運用改善に関する取組が盛り込まれた。漁協が漁場の活用状況を適切に把握できるよう、漁業者への直接確認を含めた運用を徹底するとともに、漁業者等が都道府県に活用状況を直接確認できることを周知する。また、海区漁業調整委員会の議事録や説明資料の速やかな公開を進めるなど、漁業調整の透明性向上を図り、新規参入や事業拡大を円滑に進めることとしている。
なお、同計画の参考資料である実施事項説明資料では、海洋状況表示システム「海しる」の画面を示した上で、現状では漁業権が免許されている漁場であることは確認できる一方、漁場の活用状況等の確認は困難であり、客観的な確認に必要な情報開示等が重要であると説明している。
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/publication/program/260721/01_program.pdf
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/publication/opinion/260629main.pdf
6.自民党海洋開発特別委員会、海洋政策に関する提言を取りまとめ
自由民主党海洋開発特別委員会は、「海洋の総合的な開発・利用の強力な推進による日本経済の成長に向けた提言」を取りまとめ、6月12日に高市総理に手交した。同提言では、南鳥島周辺のレアアース泥開発の加速や、海洋ドローン及び海洋状況把握(MDA)の活用拡大に向けた公共調達による初期需要の確保(アンカーテナンシー)、マンガン団塊等の商業開発の前倒し・推進や超深海探査母船の建造など研究基盤の強化などを提言している。また、海洋基本法等の改正による海洋政策の司令塔機能の強化や、将来的な「海洋庁」の設立、北極政策の改定検討、南極地域観測体制の強化なども盛り込まれた。
https://www.jimin.jp/news/policy/213472.html
《海産研関係情報》
1.当協会事務局、8月10日(月)~14日(金)夏季休業
8月10日(月)~14日(金)まで、当協会事務所は夏季休業とさせていただきます(8月11日(火)は「山の日」のため祝日となります)。