調査・研究
RESEARCH
02. 浮体構造物(マリンフロート)の活用に関する調査研究
日本の国土は限られており、既に殆どの陸土については利用されているため、新たな開発にむけた利用場所は限定されています。他方で、日本が管轄権を有する海域は広く、その有効活用にむけて、海洋基本法制定以降、議論が続けられています。その海域における利用空間確保の一手段としてあげられるのが、浮体構造物(マリンフロート)の利活用です。
本調査研究は、海上に新しい空間を創出するマリンフロートの利用拡大を目指し、調査・検討及び各種の提案を行うものです。
浮体構造物については、国内外でも数多く存在し、桟橋等の小規模なものが殆どです。社会インフラを中心とした利用空間の拡大という視点からすると、大規模な浮体式構造物が目指されますが、その数は多くはありません。それが1970年代より広まった海上都市構想とともに、要素技術の開発が進められ、日本では、1977年の関西国際空港の浮体工法に関する研究に端を発します。その対象は、構造型式としては半潜水のサブセミ型や箱型と言われるポンツーンの大きく二つに分けられ、また既存の船舶を利用した係留型等にも及びます。そうした大規模浮体式構造物の実現に向けて、様々な業界が結集して1990年にはマリンフロート推進機構が設立されました。この事業を2008年度より当協会が継承しています。
浮体構造物の利用事例は様々です。たとえば、石油掘削装置、石油備蓄基地、旅客ターミナル、桟橋、浮体式空港等があげられます。また、当初の目的を果たした構造物の二次利用としては、海釣り公園、浮体式防災基地等があげられます。
当協会では、これまで「浮体式多目的洋上基地ネットワーク構築の提案」、「小笠原父島浮体式飛行艇発着施設」、「木更津沖浮体滑走路」、「お台場浮体式海域浄化プラント」等、数多くの提案活動を行ってきました。
最近では、「海底設置型フラップゲート」、「浮体式生簀養殖施設」等の別の視点から浮体構造物について実施しています。そうした関連事例や新たな浮体構造物の利用方法も含め、今後の展開可能性等について、日本の現状や諸外国の事例等も踏まえて検討を行っていきます。